- うつ病
調査では、世界人口の3~5%が「うつ」にかかっているといわれています。誰にでも起こりうる病気と言えるでしょう。
- 原因
いくつかの要因が関係して起こってきます。
やる気のなさで起こってきているものではありません。
遺伝や、性格だけで起こってきているものでもありません。
まじめで責任感の強い、几帳面、仕事熱心な人がうつ病になりやすいともいわれています。そんな人が、ストレスの多い環境や急な生活環境の変化などに出会ったとき、うまく対応できず、うつ病の状態になるとも考えられています。
うつ病の時は、脳内の神経伝達物質が正常に働かなくなって、病気の状態を引き起こしていると考えられています。
- 症状
■睡眠障害
●寝付けない、何度も目が覚める、熟睡できない、朝早く目が覚める
●夢ばかりみる、疲れているのに目がさえている
■身体症状
●体がだるい(倦怠感)、頭が働かない、仕事に身が入らない
●食欲低下、体重減少、便秘、口渇
●頭痛、頭重感、肩こり、体の痛み、性欲減退
■気分、感情の障害
●気分が憂うつ、さびしい、悲しい
●不安でたまらない、どうにかしたいと焦ってばかりいる
■意欲の障害
●意欲がなくなる、物事におっくうになる、興味、関心がなくなる、喜びを感じなくなる
■思考・判断力の障害
●考えが進まない、悲観的になる、判断や決断ができない
●自分を責める、自分がだめな人間に思える
■行動の障害
●行動範囲が狭くなる、動作が鈍くなる、身の回りのことができなくなる
●自殺企図
自分を現実的にとらえにくくなり、価値のない人間、何もできないダメ人間、生きていても仕方ない人間としか見えなくなります。そんな状態が自殺につながります。充分注意して自殺を予防することが、何よりも大切です。
- 治療
治療は、薬物療法が基本となります。
●主に抗うつ薬や抗不安薬を使います。
●薬の効果が表れるまでは、数週間かかることがあります。治療法や組み合わせも必要です。
●カウンセリングなどがあります。
●生活環境、ものの考え方、行動様式など、もっと気楽に、柔軟にとらえられるようにすることが大切です。
回復には波がありますが、必ず良くなります。 ●良くなったり、悪くなったりを繰り返して回復していきます。
●ゆっくりと、焦らずにペースを取り戻していくことが大切です。
●症状や回復具合にあわせて、薬を組み合わせていきます。副作用に心配など、わからないことは主治医によく相談しましょう。
●心身両面での休養が必要です。
●ライフスタイル(生活様式)を変えることも時には有効です。
- 周囲の対応
気長に回復を待つことが必要です。
●焦りや不安があるので、励ましたり、叱ったりする事が本人の負担を重くしがちです。
●「がんばらなければ」と思っても、それができないことに苦しんでいるのです。不用意に励まさず、本人の苦しみを理解してあげましょう。
●思考がまとまらないときです。仕事や生活における大切なことの決断や判断は、先送りさせてください。
●本人の気力だけでは治らないことを理解し、治療を勧めることが必要です。
自殺の予防が最も重要です。
●「死にたい」という言葉が出たら、冗談に聞こえても、笑顔を見せていても、決して軽く考えず治療を勧めて下さい。絶対自殺をしない約束を本人と交すことも必要です。この約束が自殺の大きな歯止めとなります。
回復してくると、本人も周囲も安心してほっとしがちですが、油断は禁物です。この時期は早く元に戻ろうと焦ったり、つい無理をしてしまうことが多いのです。その結果、無理がたたって、症状が悪化したり、自殺を引き起こしたりします。あくまでも、じっくり、ゆっくり療養する事を心がけ、主治医と連絡を取り合って、注意深く見守ることが必要です。